ヘレディタリー/継承

グラハム家の祖母・エレンが亡くなった。娘のアニーは夫・スティーブン、高校生の息子・ピーター、そして人付き合いが苦手な娘・チャーリーと共に家族を亡くした哀しみを乗り越えようとする。自分たちがエレンから忌まわしい“何か”を受け継いでいたことに気づかぬまま・・・。

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2018年11月に公開された 「ヘレディタリー/継承」のレビューです。

「ヘレディタリー/継承」は、今回が初の長編作である新人監督アリ・アスターが手掛ける話題のホラー映画です。キャストには、トニ・コレット、ガブリエル・バーンの実力派俳優に加え、若手のアレックス・ウルフや独特なオーラを漂わすミリー・シャピロが出演しています。

私自身ホラー映画は好きですが、怖いと思った作品がほとんどありません。パラノーマル・アクティビティはつまらなさすぎて、途中で見るのを辞めました。ホラー映画は大体2種類に分けられると思うのですが、1つは、前述したパラノーマル・アクティビティのようなビックリ系。名前の通り、不意打ちを狙ってとにかくビックリさせようとする理不尽さが特徴です。ホラー映画の9割くらいはこっちに属している気がします。

もう一つが、サイコホラー系。 今回のヘレディタリーのような映画がまさにそうです。じわじわユーザーを追い詰めながら神経をすり減らせて、感情を不安定にさせる。お化け屋敷にいるような感覚です。 他の作品で言えば、シャイニングとかですね。名作が多いイメージ。 今回の映画「ヘレディタリー/継承」は、今ままで観たホラー映画よりもダントツで怖かったです。Wikipediaによると、Rotten Tomatoesには257件のレビューがあり、批評家支持率は89%となっており、批評家からも絶賛されています。それにアリ・アスターのほぼデビュー監督作品なのですから、開いた口が塞がりません。

アリ・アスター本人は生粋のホラーファンのようです。

この映画に関してはネタバレは極力しないようにしたいので、ストーリーについては書くのを自粛します。他の優れているポイントをいくつか述べます。

コリン・ステットソンの存在

この映画の音楽はとても計算された素晴らしい作曲でした。作曲を手掛けたのはColin Stetson (コリン・ステットソン)というサックス奏者です。日本での情報が皆無なので英語の記事等を見る限り、アルバムなども出されているみたいで、なかなか活躍している方みたいです。映画の作曲も、いくつかやっているみたいですが、有名な作品はヘレディタリーが初ですかね。

COLLIDER - ‘Hereditary’ Ending Explained: What the Hell Happened?

映画を観ている最中、うまいなーと何回も思うくらい、絶妙な作曲でした。最近の映画だと、ハンス・ジマーが作曲したダンケルクが同じような手法を使ってましたが、主人公の心理状態をそのまま音楽に表していると言えばいいのでしょうかね。まあ観ていただければ言いたい事が理解できると思います。本当に自分が映画の中にいるような臨場感を与えてくれるんです。

映画界の作曲を支える音楽家がまた一人増えました。

コリン・ステットソン、今後期待の人物です。

カメラワーク

なんと言っても、この映画の一番のキーポイントがカメラワークです。今までに観たことも無いようなカメラワークで、恐怖を与えてくれます。(本当に怖いです)

前述したビックリ系のビックリ要素はホラー映画には欠かせない部分ですが、大体のB級ホラー映画は不意打ちを狙って怖がらせてきます。ヘレディタリーは、ん?なんか見えるけどなんだろう…のような考える時間を与えてくれます。それが恐怖の特効薬となり、何か分かった時にはもう手遅れです。心臓をやられます。(やられました)冗談抜きで、映画を観て初めて叫びました。

ストーリー自体が神経をどんどん擦り減らせてくる構造の為、ユーザーは恐怖に過敏な体質にならざるを得ないわけです。その過敏な状態で、捲し立てるような恐怖の連続ですから、そりゃー怖いですよ。

要するに天才現るってことですね。

迫真の演技

COLLIDER - ‘Hereditary’ Ending Explained: What the Hell Happened?

キャストの演技も抜群でした。トニ・コレットの迫真の演技は圧倒されましたね。 初めて知った俳優なのですが、エミー賞を取るなど演技すごい系の方です。写真を観ていただければ分かると思いますが、怖い顔してるでしょ?

凄まじい演技してくれます。最近の観た映画ではダントツの演技力です。目が怖いんですよね。このトニに見られただけで、私の髪一本くらい抜けると思います。

そんなトニよりこの映画で、一番の存在感が出ていたミリー・シャピロ。今後要注目の俳優です。 2019年時点で17歳らしいですが、身長が147cmなのもあり、もう少し幼く見えましたが、演技とのギャップで、より恐怖感を与えてくれるような素晴らしい演技でした。舞台出身らしく、映画は今回が初めてのようです。

FAST COMPANY - Watch The Trailer For “Hereditary,” Contender For Year’s Scariest Movie

ミリー・シャピロの存在感は、ガブリエル・バーンが出演していた事を忘れるくらいです。ガブリエル・バーンは父親役ですね。これ以上言うと、ネタバレになるので控えます… 別にネタバレしてもいいんですが、ヘレディタリーは極力映画の情報を遮断して、映画に挑んで欲しいです。


全体を通して、全てが圧巻でした。後半から口が塞がらなくなるくらいの恐怖を感じましたね。恐怖のあまり、あと一歩で漏らしてしまう所でした。(そうゆう時もありますよね) ラストは、特に半端ない怖さです。あの恐怖は、 Annihilation (アナイアレイション -全滅領域)以来のなんとも言えない恐怖でした。 えーーーって感じになると思います。

アナイアレイションも今年観ましたが、過去を振り返ってもヘレディタリーの次に怖かった映画です。再度観た時にレビューしようと思います。私が認めたホラー映画はこの2作だけです。(異論は認めません)

今年の夏にアリ・アスターの新作Midsommar (ミッドサマー)が公開されたようなので、早く観たいですね。

ヘレディタリー、名作です。