デッド・ドント・ダイ

アメリカの田舎町センターヴィル。3人だけの警察署で働くロバートソン保安官(ビル・マーレイ)とピーターソン保安官代理(アダム・ドライバー)は、いつもの他愛のない住人のトラブルの対応に追われていたが、突如、街にゾンビが出現しだし、思わぬ事態に巻き込まれていく・・・。

予告編
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「デッド・ドント・ダイ」は、鬼才ジム・ジャームッシュが手掛ける、3年ぶりとなる新作ホラー&コメディ映画です。2019年カンヌ国際映画祭のオープニング作品として上映され、日本では2020年春に公開予定。キャストにはアダム・ドライバー、ビル・マーレイ、クロエ・セヴィニー他、イギー・ポップやRZAなど、ジャームッシュ映画ではおなじみの顔ぶれが勢揃いしています。

Focus Features

ストーリーはアメリカの郊外にある田舎町センターヴィルが舞台。ある日、突然墓場から死人が蘇り人を襲い始め、街が徐々にゾンビで溢れ返ります。3人しかいない警察署で働くロバートソン(ビル・マーレイ)、ピーターソン(アダム・ドライバー)、モリソン (クロエ・セヴィニー)の保安官トリオが、ゾンビに立ち向かうお話しです。

ジャームッシュファン待望の新作映画は、まさかのゾンビ映画。私もファンの一人ですが、ジャームッシュがゾンビ映画を手掛けるとは思いませんでした…。この映画、キャストが凄まじい事になっており前述したメインキャストの他だと、

  • セレーナ・ゴメス
  • スティーヴ・ブシェミ
  • ダニー・グローヴァー
  • ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ
  • サラ・ドライバー (ジャームッシュのパートナー)
  • キャロル・ケイン

名だたるキャストが勢揃いしています。ストーリーは淡々と進むので、意外とあっさり殺されるキャストもいます(ちょっとネタバレ)。ブシェミやランドリージョーンズはジャームッシュ映画では新たな顔ぶれですね。と思いきや、ブシェミはコーヒー&シガレッツの序盤で出てましたね。話が逸れますが、コーヒー&シガレッツで出てくる人物が飲むコーヒーの量半端ないですよね。ブシェミとか、10杯くらい飲んであったような…

話を戻しますが、個人的にはジャームッシュの作品で、一番のお気に入りです。ちなみに今までだと、The Limits of Control (リミッツ・オブ・コントロール)が特にお気に入り。

ティルダ・スウィントンの存在

この映画はジャームッシュのセンスが至る所で発揮されており、キャラクターそれぞれ個性が強いです。中でもティルダ・スウィントンが演じるゼルダ・ウィンストンが特に目立ちます。

Focus Features

ゼルダは葬儀屋という設定ですが、日本風の室内で刀を振り回しながら修行?していたり、死化粧のセンスがぶっ飛んでいたり、PCのタイピング速度が尋常ない速さだったり、とにかくルックスがものすごく不気味です。コスプレみたいな服装してます。

IMDb

ゼルダのオチが圧巻?というより、????ですので、来年映画を観る方は要チェックです。一番見所のシーンは中盤くらいで自宅から警察署(交番くらいの規模)に歩いて行く場面。歩き方が笑いを誘っています。あそこまでいったら面白いを通り越して、クールの領域です。十字キーで動かしているようにカクカク方向転換するんですが、このシーンが私の一番お気に入りのシーンです。墓場に持っていきたいです。

ゼルダのキャラは、今まで観た映画のどんなキャラクターよりも独創的かつコミカルで、最高にクールです。実はゼルダ自身には、ある裏設定があります。その為、常人よりスキルが高いのですが、中でもゾンビを刀でバサバサ斬っていくシーンは圧巻です。

魅力的なキャラクター設定

Indiewire.com - The Dead Don’t Die’ Shows Life; ‘Late Night’ Resembles ‘Booksmart

主人公の二人、ロバートソン(ビル・マーレイ)とピーターソン(アダム・ドライバー)がとにかくのんびりしているので、スローテンポで物語は進んでいきます。

アダム・ドライバーはPaterson (パターソン)の時に、のほほーんとした役がとてもフィットすると思っていましたが、それ以上に今回の役はフィットしていました。ビル・マーレイとの掛け合いは、これだけで映画一本作れるのでは?と感じさせる程、絶妙な会話と間合いでした。

劇中では、町の住民がゾンビに襲撃された為、保安官トリオが現場に駆け付けるシーンがあります。その時にピーターソンが車で来るのですが、車が凄く小さいです。アダム・ドライバーの風貌と相まって、とってもシュールな場面です。

Focus Features

トム・ウェイツ扮する森に住むボブが良い味出てました。保安官の二人に対して、Fu○○ Youと言う場面も笑えます。トム・ウェイツは老人役の演技がうまいですよね。最近だと、コーエン兄弟が手掛けた2018年公開のThe Ballad of Buster Scruggs (バスターのバラード)で老いぼれた山師役をやっていましたが、役にはまっていて名演技でした。ずっっと独り言を喋っている老人でしたけどね…

コーヒー&シガレッツの時の若々しい風貌が嘘のようです。(共演したイギー・ポップはルックスが全然変わってませんね)

Netflix - The Ballad of Buster Scruggs

他にも笑いを誘う場面も多く出てきます。中でも絶妙な場面が、イギー・ポップとサラ・ドライバー扮するゾンビ。発する言葉が"コーヒー"の一言のみで、あとは"ウォーー"のような雄叫びくらい。コーヒーの為にレストランを襲います。このシーンはとってもシュールです。

Focus Features - Resembles ‘Booksmart

“Siri"や"Wi-Fi"と連呼するゾンビが出てきたり、ブシェミ扮する農家のミラーがレストランでレイシストな発言をし、顔見知りの黒人男性 (ダニー・グローヴァー)と変な空気になり、そのミラーが被るキャップに書かれている言葉は、Make America Great Again (アメリカ合衆国を再び偉大な国に)。その後、店を去ろうとするミラーに対して男性は、“気を付けろよ"の一言。皮肉です。

ジャームッシュ自身、ゾンビ映画を好んではいないそうで、彼はRolling Stoneのインタビューでこう語っています。

…怒りに満ちた映画だと思う。俺はゾンビに飽き飽きしていたんだよ。まるで、本物のゾンビが俺たちの周りを歩いていて、何にも興味を持たず、世界を終わらせようとしているようにね。実は『オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ』に、何気無いこんなワンシーンがあるんだ。カップルがゾンビのような人間について話している。なぜなら彼らは、自分の周りにあるものに対して意識を向けていないからだ。そして世界の大部分が、その差し迫った終わりに対して、いかに無意識であるか、を語っている。それは悲しいことだし、イライラするよ。俺は、そんなのはもうウンザリなんだ。だからこの映画では、俺ならではの手段で怒りを表明しているとも言えるね。

私達はこの映画を通して、身の回りの事や世界で起こっている現状・未来について、改めて考え直すべきなのかもしれません。


全体を通して、ジャームッシュならではの緩いコメディ要素と、徐々に迫るゾンビの丁度良い緊張感が合わさって、バランスの取れたGoodな映画でした。私自身もゾンビ映画はB級のイメージもあって好きではありませんでしたが、今回のThe Dead Don't Dieは唯一のお気に入りゾンビ映画です。

シーン一つ一つがとにかくクール。ジャームッシュファン、ゾンビ映画ファンは絶対に観るべき映画です。(サラ・ドライバー初めて見ました)