クールなフォント: Helvetica

 広告業界で働く私達デザイナーにとって、仕事に欠かせない物と言えば「フォント」です。近年のフォント業界は、昔と比べて技術や環境が目覚ましく変化しています。世界的に有名なサンセリフ書体「Gotham」を作った書体デザイナーであるJonathan Hoefler (ジョナサン・ヘフラー)は、“現代はフォント業界にとって第3期にあたり、人それぞれ、お気に入りのフォントがある"と言っています。(“Abstract: The Art of Design” Jonathan Hoefler)

本日はそんな世界に無数とあるフォントから、レジェンドのようなフォント・ファミリー「Helvetica」について紹介しようと思います。

Helvetica (ヘルベティカ )はフォントの歴史で最も成功したサンセリフ書体の一つ。

世界中の広告業界では、あらゆるプロジェクトに使用されており、グラフィックデザイナーや広告業界の方ならば、まず知らない人はいないでしょう。日本の方でも必ず見た事があるフォントです。

Helveticaをロゴとして使用している有名な企業だと、

  • THE NORTH FACE (ザ・ノース・フェイス)
  • トヨタ
  • パナソニック
  • テレビ朝日
  • BMW
  • Skype (スカイプ)
  • Nestlé (ネスレ)
  • American Airlines (アメリカン航空)
  • Harley Davidson (ハーレーダビッドソン)
  • American Apparel (アメリカンアパレル)

他だと、世界的に知名度のあるデザイナーであるMassimo Vignelli (マッシモ・ヴィネッリ)が手掛けた、ニューヨークの地下鉄のサイネージ・サイン書体が有名です。

Unsplash - Reno Laithienne

普段意識をしなくても、私達は1日に1回は目にしている程のフォントと言ってもいいでしょう。

Helveticaの歴史

Helveticaは当初、1957年にスイスにあるハース社によって「Neue Haas Grotesk」(ノイエ・ハース・グロテスク)という名前で作成されました。

当初の作成目的は、1898年にリリースされた「Akzidenz-Grotesk」 (アクチデンツ・グロテスク)というフォントをコピーする事でした。そこで、スイスの書体デザイナー、Max Miedinger(マックス・ミーディンガー)にデザインを依頼しました。

ハース社のEduard Hoffmann(エデュアルド・ホフマン)との共同開発によって、1957年に「Neue Haas Grotesk」を作成。その後、1960年に名称を「Helvetica」に変更し、販売しました。

販売後、世界各国から絶大な人気を獲得し、様々な企業の「社内書体」として採用されて、50年以上経った今でもデザイナー達に愛用され続けています。

その後の1983年には、ステンペル社によって作成・改良された「Neue Helvetica」がリリースされました。改良内容には、ウェイト、比率、カーニングの調整などが含まれています。

人気の理由

Helveticaは、実にシンプルであり時代を超越したフォント・ファミリーです。可読性が抜群に優れており、隅々まで計算されたウェイトやスタイルは、メッセージを引き立たせる、本来の書体としての役目を完璧に果たしています。

特有の癖

そんなHelveticaにも、独特の癖があり、“a"や"R"のハネの部分が曲がっているのも特徴の一つです。これはHelveticaと他のフォント・ファミリーを見分ける要素の一つでもあります。

他にも、スモールサイズ (特にWebサイトなどのデジタル媒体)の時の可読性が低い事や、カンマ(,)やピリオド(.)だけサイズを大きくするなどのHelveticaならではの対策が広告業界では、日常的となっています。


そんなHelveticaですが、2019年に書体デザインや開発を専門とする会社Monotypeにより「Helvetica Now」としてリニューアルされました。このリニューアルでは、今までHelveticaで見受けられた欠点を解決し、現代に一層馴染む美しいフォント・ファミリーに仕上がっています。

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Monotype Imaging Inc. - Helvetica Now