ワンス・アポン・ア・ タイム・イン・ハリウッド

リック・ダルトンはピークを過ぎたTV俳優。映画スターへの道がなかなか拓けず焦る日々が続いていた。そんなリックを支えるクリフ・ブースは彼に雇われた付き人でスタントマン、そして親友でもある。…ある日、リックの隣に時代の寵児ロマン・ポランスキー監督と女優のシャロン・テート夫妻が越してくる。落ちぶれつつある二人とは対照的な輝きを放つ二人。この明暗こそハリウッド。リックは再び俳優としての光明を求め、イタリアでマカロニ・ウエスタン映画に出演する決意をするがー。そして、1969年8月9日ーそれぞれの人生を巻き込み映画史を塗り替える【事件】は起こる。

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「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」は、1969年8月9日に当時26歳の女優シャロン・テートがカルト集団チャールズ・マンソン・ファミリーに殺害された事件をモチーフに、1969年のハリウッドを忠実に描いたクエンティン・タランティーノが監督するコメディ映画。

本作は、タランティーノが今までに手掛けた映画の中でも史上最高のヒットを記録し、2019年カンヌ国際映画祭で出品された際には、上映後約6分間に及ぶスタンディングオベーションを浴びました。2020年ゴールデングローブ賞では最優秀作品賞(コメディ/ミュージカル)、最優秀助演男優賞(ブラッド・ピット)、最優秀脚本賞を受賞しました。

映画史に残る豪華キャスト

主演には本作で初共演となるレオナルド・ディカプリオとブラッド・ピット。タランティーノ作品ではおなじみの顔ぶれのカート・ラッセル、マイケル・マドセン、ウォルトン・ゴギンズや、2007年公開「デス・プルーフ in グラインドハウス 」でメインキャストに選ばれ、映画「キル・ビル」の主演ユマ・サーマンのスタントとしても有名なスタントウーマン、ゾーイ・ベルが揃っています。

他にもマーゴット・ロビー、アル・パチーノ、ダコタ・ファニング、エミール・ハーシュや2019年に亡くなったルーク・ペリーも出演するなど、ハリウッド史上でも稀な豪華キャストが集結しています。

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さらに脇役を固めるのは、Netflix配信の人気ドラマ「ストレンジャー・シングス 未知の世界」のシーズン3でキャストに起用され注目を浴びた、ユマ・サーマンとイーサン・ホークの子供でもある若手俳優のマヤ・ホークや、2019年公開のジャームッシュが手掛けた「The Dead Don't Die」に出演し、2021年10月公開予定のエルヴィス・プレスリーの伝記映画で主演を務める注目の俳優オースティン・バトラーが出演しています。

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モチーフとなった事件、60年代の音楽

本作のストーリーで主軸となるのは、1969年に実際に起こったチャールズ・マンソンとその信者による、女優シャロン・テート殺害事件。

チャールズ・マンソンとは、1960年代末から1970年代のはじめにかけ、“マンソン・ファミリー”の名で知られる生活共同体を率いていたカルト指導者です。当時、映画監督ロマン・ポランスキーの妻であり妊娠中でもあった女優のシャロン・テートや、友人を含む5人の無差別殺害は、マンソンの信者たちによる狂気と残忍性を象徴する事件として知られています。

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劇中では、随所にマンソン・ファミリーやヒッピーが登場し、中でもブラットピット扮するクリフがマンソン・ファミリーの拠点であるスパーン映画牧場に偶然辿り着き、そこで繰り広げられる緊迫したシーンには要注目です。

終盤で展開される、襲撃を企むマンソン・ファミリーのメンバーが車で登場するシーンでは、60年代に活躍したフォークグループ、ママス & パパス (The Mamas and The Papas)の名曲"Twelve Thirty"が流れます。

この登場シーンで見覚えがある方もいると思いますが、本作と同じ1969年が舞台で、ドリュー・ゴダード監督の映画「ホテル・エルロワイヤル」でも似たようなシチュエーションのシーンがあり、クリス・ヘムズワース扮するカルト集団のリーダーであるビリー・リーが終盤で登場する場面でも同じく"Twelve Thirty"が流れます。(ビリー・リーは、チャールズ・マンソンがモチーフ)

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ママス & パパスは、60年代にヒッピーで見られた思想"フラワー・ムーブメント"を代表したグループ。当時のヒッピーからの支持も高かった為、ヒッピーにとってバイブルのような存在だったと言えます。

ママス & パパスの他にも、劇中では数多くの60年代を代表する名曲がBGMとして使用されており、本作の魅力をより引き立てています。

Twelve Thirty - The Mamas & the Papas

Hush - Deep Purple

Bring a Little Lovin’ - Los Bravos

実在の人物、周囲の不満

本作は、ストーリーこそオリジナルではあるものの、1969年のハリウッドを忠実に再現しています。その為、実在の人物も多く登場しており、当時を代表する名優スティーブ・マックイーン、監督や俳優としても活躍したサム・ワナメイカーやブルース・リーなど数多くの実在の人物が出てきます。

中でも映画ファン必見のポイントは、やはりブルース・リーが登場する場面。そっくりの見た目に加えブラッド・ピット扮する架空のキャラ、クリフと対決するシーンや、初登場の場面での演説シーンは必見です。

しかし、劇中ではブルース・リーのイメージとは異なった描写の為、娘シャノン・リーやリーのファンは不満を漏らしています…

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ブルース・リーの他に、際立っていたのがロマノ・ポランスキー。ポランスキーは、今でこそ80歳を超えて見た目もおじいちゃんですが、50年以上も前である当時=本作は、髪もワサワサしており、夜遅くにシャロンとパーティーへ参加したり、アクセル全開で車を飛ばしたりと若々しい描写がされています。

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しかし、本作でポランスキー、シャロンが深く関係する事件を主軸としたストーリーに加え、実名で登場させたにも関わらず、ポランスキー本人には映画化に関する承諾を得ていない様子。映画.comによると、妻でもあり女優のエマニュエル・セニエは自身のTwitterで、

誰かの悲劇的な体験を、当人の気持ちも考えずに都合よく利用するなんて、神経を疑うわ。断っておくけど、映画そのものを批判しているわけではないの。ロマンをのけ者にしておきながら、彼の悲惨な体験をネタに映画を作って金儲けをすることになんら抵抗を感じないハリウッドの映画人たちに、腹を立てているだけ。しかも、ロマン本人に何の相談もなく勝手にね。いい映画かもしれないけれど、アイデアが気に入らない。

と、夫の悲劇を断りもなく映画の題材にしたタランティーノに対してや、1978年に未成年の少女に性的暴行を加えたとして有罪判決を受けたのを機に、ポランスキー監督を事実上の永久追放としたハリウッド映画業界に対しても、不満をぶちまけました。

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前述した複数の背景も踏まえて、本作でコミカルに描かれたブルース・リーや、ポランスキーの若々しい姿には要注目です。

60年代の服装

60年代の当時を忠実に再現した本作は、マドンナのツアーにスタイリストとして同行した経験を持つアリアンヌ・フィリップスが衣装デザイナーとして加わっている為、劇中でのユニークな衣装の数々にも必見です。アリアンヌは、ファッションデザイナーのトム・フォードが監督した「シングルマン」や「キングスマン」、「3時10分、決断のとき」など数多くの映画の衣装を手掛けている、ニューヨーク出身の衣裳デザイナーです。

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そんなアリアンヌが衣装を手掛けた本作では、主演のディカプリオが着こなすヴィンテージの雰囲気を十分に漂わせたレザージャケットや、ブラッド・ピットが着用していたチャンピオンのホワイトロゴT、日本絵がプリントされた鮮やかなイエローのアロハシャツ、デニムオンデニムのコーディネートなど、現代でもそそられるアイテムが数多く出てきました。他にもシャロン・テートなどのキャラクターが着用していたウエスタンブーツや、モカシンも要チェックです。

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中でも際立っていたのが、ブラッド・ピットが着用したアロハシャツ。アリアンヌがキャラクターに合うヴィンテージシャツを探し回り試行錯誤したようで、最終的に似たようなヴィンテージシャツを元に、ハワイアンの柄からアジア風のプリントにデザインし直し、オリジナルとして作ったとの事です。esquireより


タランティーノ自身が「最もパーソナルな作品」と語る集大成とも言える本作「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」は、タランティーノが実際に生きた当時の記憶を色濃く反映したストーリーに加え、劇中でそれまでに取っておいたかのようなおなじみのバイオレンスシーンもラストで展開されます。

ハリウッド史上でも稀な豪華キャスト、劇中で数多く出てくる60年代の美しいファッションアイテムの数々にも目を奪われる事間違いなしのオススメの映画です。

アルフォンソ(キュアロン)が『ROMA/ローマ』で1970年代のメキシコシティを描いたように、僕には1969年のロサンゼルスがあった。これは僕の話なんだ。僕の形成期だよ。当時僕は6歳だった。これは僕の世界であり、ロサンゼルスへのラブレターなんだ。 Microsoft Newsより。