ウィッチ

1630年、ニューイングランド。敬虔なキリスト教徒のウィリアムとキャサリンの夫婦と5人の子供たちは敬虔なキリスト教にのっとった生活を送るため、村はずれにある森の近くの荒地に引っ越してきた。しかしある日、5人の子供の1人赤ん坊のサムが何者かに連れ去られ、行方不明となってしまう。家族が悲しみに沈む中、ウィリアムは美しく成長した娘のトマシンが魔女ではないかとの疑いを抱く。それをきっかけにやがて一家全員が疑心暗鬼になり、次第に狂気の淵に沈んでいく。

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「ウィッチ」は、2015年公開のアメリカ・カナダのホラー映画。2019年公開の映画「ザ・ライトハウス」で注目を集めたロバート・エガースの初長編監督映画です。配給会社はA24が担当しており、キャストには、2017年公開のシャマラン監督のホラー映画「スプリット」などに出演しているアニャ・テイラー=ジョイ、「ハリー・ポッター」「スター・ウォーズ」「ゲーム・オブ・スローンズ」など数々の有名作品に出演しているラルフ・アイネソンなどが起用されています。

本作が初の長編映画だったロバート・エガース監督は、「ヘレディタリー/継承」などで注目されているアリ・アスター監督に並ぶ、ホラー映画界の新星とも言うべき秀才です。16世紀のニューイングランドが舞台である本作は、熱心なキリスト教徒である家族が村の外れにある森に引っ越し、そこで次々と一家が崩壊していく様を民話に基づいてホラータッチで描かれています。

序盤で、生まれたばかりの息子サムが突如目の前から消えるシーンから一気に映画に引き込まれます。魔女がテーマである本作ですが、魔女が登場する場面は数える程しかありません。その限られたシーンでも、十分なまでに恐怖を引き立たせてくれるくらいに細部にまでこだわりが感じられ、見ている私たちに絶妙な恐怖と不安感を与えてくれます。ホラー映画でよく見る、顔を正面からアップで写すと言うようなベタな撮り方はせず、後ろ姿や手、仕草などの少ないパーツで、絶妙に表現されていました。

双子の子供がいい働きをしており、外で遊びながら歌うシーンや、仕草一つ一つとっても不気味に感じられる程に、効果的に本作で登場していました。途中、主人公(姉)が怖がらせる目的で「私は魔女」と冗談混じりに双子の片方を怯えさせるシーンは、伏線がほとんどない本作での後半部分で大いに効果を発揮します。劇中、所々にウサギが登場するのですが、アップで映し出される顔は、感情が一切感じられない不気味な動物として本作で効果を発揮しています。その様はまるで2019年公開のジョーダン・ピール監督制作のホラー映画「アス」で登場するウサギを見た時の恐怖と似ています。ちなみに私は「アス」を見るまでウサギが好きでしたが、映画を見てからウサギが嫌いになってしまい、直視すらできなくない体になってしまいました。ジョーダン・ピールには頭が上がりません…

The Telegraph - The Witch will leave you shaking with fear - review

映画の中盤で、弟役のハーベイ・スクリムショウが迫真の演技を披露しますが、ちょっとわざとらしく感じられました、が、ラルフ・アイネソンは、さすがとも言うべき演技で、本作にフィットする味のある演技を見せてくれました。彼の声は、映画「ハリー・ポッター」シリーズの後半で、チラッと死喰い人として登場していた事も覚えている程、独特で印象的な声質です。編集で声をいじっているような、悪役声とも言うべきクールな声でしょう。そんな彼の渋い声も、前述した双子の甲高い声と合わさって、本作の不気味な雰囲気をより引き立てていました。


本作は、1時間30分程の短い時間をうまく活用した、一切無駄なシーンがなく巧みなストーリー構成でまとめた上質な映画でした。ホラー好きの私としては、少し物足りないホラー具合でしたが、映画としての完成度や、話題の映画「ザ・ライトハウス」の成功に繋がった為、ロバート・エガースやホラー映画界にとっても貴重な映画と言えます。「ザ・ライトハウス」を観た方や、童話や民話などが好きな方にぜひ観てほしい作品でした。